日本語能力「CEFR B2」、経営・管理の3,000万円・常勤職員、申請手数料の引上げなどを分かりやすく解説致します!
外国人を雇用している企業様、これから外国人材の採用を検討している企業様にとって、近年の入管制度の変更は見逃せないものとなっています。
「以前はこの方法でビザが取れたから、今回も大丈夫」
「外国人本人が大学を卒業していれば、どんな仕事でもできる」
という考え方では、今後は対応が難しくなる可能性があります。
最近の制度改正では、外国人本人の学歴・職歴だけではなく、実際にどのような仕事をするのか?
その仕事に必要な日本語能力があるのか?
会社に適切な受入れ体制があるのか?
外国人経営者の場合、実際に経営できる体制があるのか?
在留手続にどれくらいの費用がかかるのか?
といった点も重要になっています。
今回は、外国人を雇用する企業の皆様に特に関係する変更について、分かりやすく解説します。
1.外国人雇用は「採用できるか」だけではありません!
外国人を採用する場合、まず重要になるのが「在留資格」です。
例えば、外国人社員を「技術・人文知識・国際業務」で採用するのであれば、その外国人が担当する仕事が「技術・人文知識・国際業務」に該当するのか?を確認する必要があります。
例えば、
海外取引
営業
マーケティング
商品開発
システムエンジニア
設計
経理・人事
通訳・翻訳
など、専門的な知識や外国語能力等を活用する仕事が考えられます。
一方で、在留資格に該当しない単純な作業を中心に行わせる場合には注意が必要です。
そのため、
「外国人を採用する」
↓
「仕事内容を決める」
↓
「その仕事に合った在留資格を確認する」
という順番で考えることが重要です。
2.「技術・人文知識・国際業務」は仕事内容の確認がますます重要に!
外国人社員の雇用で多く利用される「技術・人文知識・国際業務」について、出入国在留管理庁は2026年4月15日に「在留資格の明確化等」を改正しました。
特に注目されるのが、主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合の日本語能力です。
例えば、
①日本人顧客への営業
②外国人顧客への営業・接客
③通訳・翻訳
④ホテル・旅館等での顧客対応
⑤日本人スタッフと外国人スタッフの間の調整
⑥日本語を使用したカスタマーサポート
など、言語能力を使って人と継続的にコミュニケーションを取る仕事については、仕事内容と必要な言語能力との関係をしっかり確認する必要があります。
3.対人業務では「CEFR B2相当」の日本語能力がポイントに!
今回の変更で企業の皆様に知っておいていただきたいのが、「CEFR B2相当」という基準です。
CEFRとは、外国語の能力をA1・A2・B1・B2・C1・C2の6段階で示す国際的な指標です。
B2は、一般的には、仕事などの場面である程度複雑な内容についてコミュニケーションができるレベルとされています。
出入国在留管理庁は、一定の所属機関・業務について、主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合、業務上使用する言語についてCEFR B2相当の言語能力を有することを証する資料の提出を求める取扱いを示しています。
そのため、外国人を対人業務で採用する場合には、
「この仕事をするために、どの程度の日本語能力が必要なのか?」という点を採用時から考えておくことが重要です。
4.「N1・N2がなければビザが取れない」という意味ではありません!
ここは誤解しやすいポイントです。
「CEFR B2相当」と聞くと、「日本語能力試験N1またはN2がなければダメなの?」と思われるかもしれません。
しかし、必ずしも「N1・N2の資格がなければ許可されない」という意味ではありません。
出入国在留管理庁の取扱いでは、一定の場合に、大学等の卒業証明書や関連する業務の実務経験等によって、B2相当の日本語能力を有するものとみなされる場合があります。
したがって、「N1・N2を持っているか」だけではなく、仕事内容・使用言語・本人の能力を総合的に確認することが重要です。
企業側としても、雇用契約書に「営業」「事務」「総合職」などとだけ記載するのではなく、誰に対して、何語を使い、どのような業務を行うのか?まで具体的に整理しておくことをおすすめします。
5.「経営・管理」の在留資格も大きく変わりました!
外国人が日本で会社を経営する場合などに利用される「経営・管理」についても、大きな改正が行われました。
2025年10月16日から、主な基準が見直されています。
特に大きな変更が、
資本金等「3,000万円以上」
という基準です。
従来は、500万円以上の出資等が重要な基準の一つでしたが、改正後は3,000万円以上が基準となっています。
そのため、これから外国人が日本で会社を設立して「経営・管理」の在留資格を取得する場合には、以前よりも大きな資金を準備する必要があります。
6.「経営・管理」では常勤職員の雇用も必要に!
改正後の「経営・管理」では、原則として、事業を行う会社等において、1人以上の常勤職員を雇用することが要件となっています。
つまり「会社を作って、外国人本人が一人で経営する」という形では、改正後の基準を満たすことが難しくなっています。
外国人経営者が新しく会社を設立する場合には、
①3,000万円以上の資本金等
②1人以上の常勤職員
③日本国内の事業所
④具体的な事業計画
⑤経営者としての経験・能力
⑥事業の継続性
⑦適切な事業運営体制
などを総合的に検討する必要があります。
7.「経営・管理」では日本語による事業運営体制も重要!
改正後の「経営・管理」では、日本語能力についても新たな要件が設けられています。
外国人経営者本人または常勤職員のいずれかが、日本語能力を有していることが求められます。
したがって、「外国人経営者本人は日本語が十分ではない」という場合でも、日本語能力を有する常勤職員を雇用することによって、日本語による事業運営体制を整えるという考え方が可能です。
重要なのは、単に資本金3,000万円を用意することではなく、「日本で実際に事業を経営・管理できる体制があるか」という点です。
8.現在「経営・管理」を持っている人にも経過措置があります!
「すでに経営・管理の在留資格を持っている外国人も、すぐに3,000万円を用意しないといけないの?」
という疑問もあると思います。
改正前から「経営・管理」の在留資格を持っている方については、一定の経過措置が設けられています。
出入国在留管理庁によると、改正後の基準への対応について、2028年10月16日までの経過措置が設けられています。
そのため「改正されたから、既存の経営・管理ビザがすぐに無効になる」というわけではありません。
ただし、更新時には改正後の基準への対応状況が重要になってくるため、現在「経営・管理」で事業を行っている外国人も、早めに今後の事業計画を見直しておくことが重要です。
9.外国人の在留手続にかかる手数料も引き上げられています!
外国人雇用については、制度そのものだけではなく、入管に支払う手数料にも変更があります。
2025年4月1日から、在留資格変更許可・在留期間更新許可・永住許可などの手数料が改定されました。
例えば、在留資格変更・在留期間更新については、
窓口申請:6,000円
オンライン申請:5,500円
となっています。
永住許可については、現在10,000円です。
10.今後さらに手数料が引き上げられる可能性も!?
さらに2026年には、在留資格変更・更新・永住許可などについて、手数料の上限額を引き上げる法改正が行われています。
ここで注意が必要なのは「法律上の上限額が引き上げられた」ことと、「実際の手数料がその金額になった」ことは別という点です。
今後、政令等によって具体的な金額が定められることになります。
したがって企業としては「外国人の在留手続にかかる費用も、今後さらに高くなる可能性がある」と考えておくことが重要です。
11.特定技能・育成就労制度にも注目!
外国人の人手不足対策として「特定技能」を利用する企業も増えています。
また、2027年4月1日からは、現在の技能実習制度に代わる新しい制度として「育成就労制度」が始まる予定です。
これから外国人材を受け入れる企業は「技術・人文知識・国際業務」だけでなく、
①特定技能
②育成就労
③経営・管理
④その他の就労系在留資格
についても、自社の業種・仕事内容に応じて検討する必要があります。
12.これからの外国人雇用で企業が確認したい5つのポイント!
今回の制度変更を踏まえ、外国人を雇用する企業は、次の点を確認しておくことをおすすめします。
① 実際の仕事内容は在留資格に合っているか?
「営業」「事務」「総合職」といった職種名だけでなく、具体的な業務内容を確認します。
② 外国人本人の学歴・職歴と仕事内容が合っているか?
「技術・人文知識・国際業務」では、本人の学歴・専攻や職歴と仕事内容との関係が重要です。
③ 対人業務なら日本語能力を確認しているか?
主に言語能力を用いる対人業務については、CEFR B2相当の言語能力がポイントになる場合があります。
「N1・N2を持っているか」だけではなく、実際の仕事内容との関係で確認することが重要です。
④ 経営・管理なら3,000万円・常勤職員等を確認しているか?
外国人経営者の場合は、資本金等3,000万円以上、常勤職員、事業所、事業計画、日本語による事業運営体制など、改正後の基準を確認する必要があります。
⑤ 在留期限・制度変更・手数料を会社でも管理しているか?
外国人本人だけに任せるのではなく、会社として在留期限や更新時期を管理することも重要です。
13.外国人雇用は「採用してからビザ」ではなく「採用前の確認」が重要!
近年の制度改正を見ても、外国人雇用は「採用してからビザを考えるのではなく「採用する前に、仕事内容と在留資格を確認する」ことが非常に重要になっています。
例えば「技術・人文知識・国際業務」で採用するのであれば、仕事内容 → 在留資格への該当性 → 学歴・職歴との関連性 → 必要な日本語能力 → 雇用条件 → 申請書類という順番で確認していくことが重要です。
〈まとめ〉
外国人雇用を取り巻く制度は、現在大きな転換期を迎えています。
特に企業の皆様には、次のポイントを押さえていただきたいと思います。
技術・人文知識・国際業務
・仕事内容の明確化
・学歴、職歴と仕事内容の関連性
・対人業務における言語能力の確認
・一定の場合のCEFR B2相当の言語能力
経営・管理
・資本金等3,000万円以上
・1人以上の常勤職員
・日本語による事業運営体制
・経営者としての経験・能力
・事業所、事業計画、事業の継続性等
在留手続
・2025年4月から申請手数料が引上げ
・2026年の法改正により、今後さらに手数料が引き上げられる可能性という点が特に重要です。
外国人雇用の制度は複雑ですが、ポイントは、
「外国人本人」だけを見るのではなく、「外国人本人+仕事内容+会社の体制」をセットで確認する
ことです。
「この仕事内容で技術・人文知識・国際業務を取得できる?」
「対人業務なのでB2の証明は必要?」
「外国人を新しく採用したいけれど、どの在留資格が適切?」
「経営・管理の3,000万円要件について詳しく知りたい」
「現在の経営・管理ビザを更新できる?」
「外国人社員の在留資格を変更した方がよい?」
など、外国人雇用・在留資格についてお悩みの企業様は、採用前・更新前の早い段階でご相談ください。
制度が変わってから対応するのではなく、制度変更を見据えて早めに準備することが、外国人雇用を安定して続けるための重要なポイントです。
※本記事は2026年8月時点で公表されている情報をもとに作成しています。入管制度、審査運用、手数料等は今後変更される可能性があります。個別の申請については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表資料等をご確認ください。
以上、現在の法改正情報でした👋
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